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2025.08.0622:00

捨てては拾って,身軽になれない,なりたくない

こんにちは.

僕らは思い出と称して多くのものを手にします.

例えば旅行先,必ず思い出を残すためにお土産を購入します.

例えばライブ会場,良いライブを記憶するためにお土産を購入します.

お土産だけではなく,本やポスター,キーホルダーにマグカップ,いろいろなものを手にします.

そして捨てられなくなります.


ものを手にした瞬間から自分とものの間に時間が経過し,その時間は思い出になります.

思い出は自分を構成する要素にもなり,手放すことは困難になります.

こうやって僕らは見えない繋がりをたくさん作り,大きくなります.

巨大化した身体は,根を張り身動きが取れなくなっていきます.さながら木のように.

身体を小さくするためには,今まで集めてきた思い出を捨てることが必要です.ただ,これは身体なので痛みを伴います.自分の構成する要素だから.

自分を構成する要素を切り出し捨てることで,何も持たないものに近づくことができますが,それは自分が何かを忘れていくことと同義です.


何を選んで手にし,何を捨てるか,何を選ぶかが自分であることを証明します.僕は多くを拾いすぎた.

拾ったものを捨てることは苦しい.そして捨てることにより楽になる.ある種メンタルケアにもなるように感じます.捨てたものは思い出さない,なぜなら見えないから.


脳に記憶された多くの思い出は時間とともに風化し,リアリティを失っていきます.失ったリアリティを脳が保管し美しい思い出になっていきます.僕らはそのようにこの現実を改変していき,見たいものしか見なくなり,痛みから逃げ出していきます.


痛みはとても苦しい.当たり前のことです.けれど,僕は捨てきれない.何も捨てられない.自分が経験したことがないものを語ることはできない,許されない.自分以外の人間にはなれない.だから多くを経験する必要があります.他人の立場にたつとはそういうことです.より多くの痛みを拾い集めることが,自分以外の人間の話をすることができます.言葉はとても脆弱で,100%正しく伝えることはどうあがいても無理です.それこそ人類補完計画のようにすべての生命が一つになれば話は別ですが.


僕らはどこまでいっても他人です.へその緒を切った瞬間から1として生きていきます.その瞬間から誰ともわかり合うことはできません.わかり合えないから美しいのだと思います.

価値観は人の数だけあります.その価値観を理解することができなく,自分の勝手な解釈で落とし込み理解したように見せることはとても簡単ですが,嘘偽りです.「わかる」と簡単に言う人がとても悲しいです.何もわかりません.わからないことを知っている.

寂しさも苦しさも,自分を構成する要素であり,それを捨て去ることは楽になることだけれど,僕は背負っていきたい.痛みに鈍感になりがちだけれど,正しく見定めて自分を形どっていかなければならない.自分本位ではなく,他人目線で.ただし現実を切り取るのは自分の瞳です.

そのようにしてこの世界を切り取り,それを世界に創り出し,自分というフィルタを通して新しい世界を見つける.同じモノはこの世に一つもない.誰も彼もたった一人.孤独である,ということを正しく理解して生きていきたい.


そう考えながら,今日も物を捨てるのでした.


それでは,さらば!

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